歯周病と認知症の深〜い関係
2021年12月04日
執筆者:日本抗加齢医学会専門医 上村英之
歯周病と認知症の深ーい関係について解説いたします。
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歯周病が様々な全身疾患の発症や進行に深く関わっていることは昨今の研究で明らかになってきていますが今年、歯周病と認知症の関係性においてもとても気になる研究結果が発表されました。九州大学の研究チームによると、マウスに歯周病菌を投与したところ、アルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドβという異常タンパク質が、歯周病菌を投与していないマウスに比べて脳内に約10倍も検出され記憶力も低下したというものでした。
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歯周病と認知症との関連性において以前からわかっていたことは歯周病で歯を失い噛めなくなると認知症になりやすい。即ち咀嚼という噛む行為には大脳の血流量を増加させる効果があり覚醒作用や認知機能の向上など、脳の働きにも有益な作用があるからという理由からでした。実際に歯を失ってもきちんと義歯を入れて噛めるよう機能回復した人とそうでない人では認知症の発症率にも図のように有意差がはっきり出ています。
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総括すると歯周病が進むとアルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドβという異常タンパク質が多く出現し、また歯周病で歯を失って噛めなくなることで脳への血流が減り認知機能が低下するというダブルパンチを食らうということです。先日のブログでもご紹介した通り、第一生命グループが70歳の時に永久歯が20本以上残っていれば保険料を割り引く認知症保険の新商品を発表したことをお伝えしましたがこのようなエビデンスのもとに商品開発されたということがお分かりいただけると思います。人生100歳時代を快適に過ごすためにも予防歯科を是非始めましょう。