インプラントをダメにする口腔悪習癖
2021年12月20日
執筆者:日本抗加齢医学会専門医 上村英之
インプラントをダメにする口腔悪習癖について解説いたします。その代表的なものがブラキシズムと言われるもので歯ぎしり、食いしばり、噛み締め、上下の歯をカチカチと噛み合わせるなどの行為が含まれます。
これらの悪習癖が継続的に行われるとインプラントの上部構造である被せ物のセラミックが破損したりインプラント体自体が脱落する原因にもなってきます。成人の本来噛む力はその人の体重と同程度と言われていますが、歯ぎしり時にはその数倍もの力が加わることが解っており、過度の力がインプラントに対して破壊的な力として加わってしまうということになるのです。またインプラントと天然歯との違いの中に歯根膜の有無があります。歯根膜とは歯根部分と骨の間にある0.2ミリ前後の膜のことで歯と骨を結び付ける繊維性の結合組織でできています。それがあることによって歯にかかる力を吸収・緩和し、歯に加わる力が直接、骨に伝わるのを和らげるクッションの働きをしています。
しかし、インプラントにはそのクッションの役割を果たす歯根膜が存在せず歯と骨が直接くっついているため歯にかかる衝撃が骨にダイレクトに伝わることとなりインプラント周囲炎などインプラントを脱落させるリスクが高まってしまうのです。このような歯ぎしりなどの悪習癖は無意識の中で行われるのでインプラントに悪いと分かっていてもやめられるものではありません。よって対策としてはナイトガードの使用をおすすめしております。ナイトガートとは就寝中に使用するマウスピースのことです。
ナイトガードをつけることによってインプラント体に過度にかかる力を緩和するのに役立ちます。歯ぎしりなどでせっかく入れたインプラントがダメになるのが怖いという方は是非、かかりつけの歯科医師に相談してみてください。