口腔癌についてもっと知ろう!第3弾 口腔癌検診ってどんな事をするの?
2021年11月04日
執筆者:日本抗加齢医学会専門医 上村英之
口腔癌検診の流れについて解説いたします。口腔癌検診においてどのような検査がなされるのかを以下に列挙してみます。
①問診
問診表に喫煙の有無や飲酒の程度などの生活習慣全般について記載してもらい口腔がんになる要素がどれくらいあるかを判定する材料にします。
②視診
まず口腔内全般を見て粘膜に異常がないか、また虫歯や歯周病、歯並び、舌の圧痕の有無、口腔内の衛生状況を確認します。
③触診
ゴム手袋を付けた指でお口の中の粘膜(舌、頬粘膜、歯肉、口腔底、リンパ節)を触り、しこりや盛り上がっているところがないかを調べます。異常を発見した場合、異常箇所の写真撮影をします。
④ 口腔内蛍光観察装置
視診、触診で異常箇所が発見された場合、口腔内蛍光観察装置でお口の中に青色光を当てて、異常がないか観察し、そのままお口の中の状態を写真撮影します。蛍光観察装置は色素剤など不要で患者さまに負担をかけることもありません。特殊な光を照射することによって病変組織を発見することができる器材です。口腔内蛍光観察装置を装備している歯科医院は少ないのでお問い合わせください。
⑤オーラルナビシステム
異常を発見した場合、当院の場合、東京歯科大学と連携しており撮影した写真やデータをすぐに送信し大学の口腔外科専門医に診断のサポートを依頼します。
⑥カウンセリング
検査結果を用紙にまとめカウンセリングを行います。
口腔内に異常箇所が発見され歯科医師から指摘を受けた場合は痛みや症状が無くても大学病院をはじめとする口腔癌専門の基幹病院をご紹介しますので速やかに受診するようにしてください。
以上が通常の口腔癌検診の流れになりますが他にも場合のよっては以下の検査をすることがあります。
⑦病理検査
がんが疑われる部位の表面を綿棒でこすり取り、顕微鏡でがん細胞の有無やがん細胞の種類、悪性度などを調べる細胞診やより診断を確実にするために、麻酔をして異常がみられる部位の組織を切り取り、病理検査(生検)を行う場合もあります。
⑧画像診断
●X線撮影
歯科用の部分的なデンタル撮影と全体を写すパノラマX線撮影を行い、歯肉がんが骨に浸潤していないか、転移の有無等を調べることができます。
●CT検査
断層像を3次元で確認することができるので腫瘍の位置や大きさの確認、がんである場合はどのような治療法をとるのかの判断をするときに役立ちます。