歯周病を治すと糖尿病も治る?
2021年06月02日
歯周病と糖尿病の関係について解説いたします。まずその前に糖尿病について簡単におさらいしてみましょう。
糖尿病はインスリンが効かなくなって慢性の高血糖をきたし、長期化すると重篤な合併症を生じさせる病気です。
糖尿病には1型と2型があり1型はインスリンを作る膵臓のβ細胞が破壊されてしまうことによってインスリン分泌がされなくなるタイプです。2型は生活習慣病として発症しインスリンは正常に分泌されているもののインスリンがなんらかの原因で効きにくくなっている状態で2型が糖尿病の大部分を占めています。
ただ多くの場合、初期症状は無く痛みを伴わないため糖尿病の指摘を受けても放置されるケースが多いようです。しかし糖尿病が進行すると糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症などの重篤な合併症を引き起こし、糖尿病性網膜症は失明に至り、神経障害は全身の神経に痛みを感じるようになりますし腎症は腎臓の機能が悪化し透析を受けなければならなくなるため、放置しておく事は出来ません。血糖値をコントロールして早めに手をうつことが肝心なのです。
インスリンの効きが悪くなる状態をインスリン抵抗性といいますがこのインスリン抵抗性をあげる要因のひとつが歯周病であるということが最近の調査研究でわかってきています。歯周病と糖尿病は相互的に作用しあっていて歯周病が進むと糖尿病が悪化し糖尿病が悪化すると更に歯周病も悪くなるという負のスパイラルに陥ることも明らかになってきました。
したがって、糖尿病の患者さんは、糖尿病の管理の一環として歯周病治療も併行して行い治療、管理してもらうことが大事です。そのためにもかかりつけ歯科医を持って定期的に受診することをお勧めします。最近では、内科、特に糖尿病専門医の先生方とは医科、歯科連携の中で糖尿病治療に取り組むケースが増えて来ています。