歯科で使うレントゲンの安全性について
2021年02月17日
歯医者で使うレントゲンの安全性について解説したいと思います。歯科治療を行うにあたり、肉眼では見えない歯の内部の状態を診るため、初診時にまずレントゲン撮影を行いますが、放射線被ばくについて心配という方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは歯科医院でのレントゲン撮影における安全性についてお話ししたいと思います。
レントゲン撮影も現像するアナログタイプからパソコン上で見れるデジタルに変わってきておりX線被曝量も従来の1/5〜1/10に抑えられてきております。もともと歯科でのレントゲン撮影におけるX線被曝量は医科でのものよりはるかに小さいわけですがデジタル化によってさらに被曝量が抑えられ安全性が高まっているということになります。
ご存知のように、人間は通常生活している間にも自然界からの放射線を被爆しています。東京からニューヨークまでの往復空路で0.2mSvの被ばく量があるそうです。
自然界から受ける被曝量は、年間で平均約1.5~2.4mSv言われていますが、歯科のデジタルレントゲン撮影の被ばく量は、個々の歯を撮影するデンタルレントゲンで約0.01mSv全体的なパノラマレントゲン撮影でも、約0.03mSv程度ですので、自然界からうける放射線の量と比較しても、非常に軽微だという事がわかると思います。
小さなフィルムを口の中に入れて撮影するデンタルX線は1枚に写る歯の範囲は3、4本です。決まった歯を詳しく調べたいときや根の治療終了後に確認として撮ることが多いです。被曝量は0.01mSvです。
お口の中の歯全体を撮影するパノラマX線は初診時やメインテナンスなど、全体の歯を概観したいときに使用します。被曝量は0.03mSvです。
歯科用CTは平面的なレントゲンとは違い、3次元の立体的な画像診断が必要な時、すなわち親知らずと神経、血管の位置関係を知りたい場合やインプラントの治療前に使用することが多いです。被曝量は0.1mSvです。
ちなみに他から受ける被曝量も参考に見ていただきますが歯科での使用がいかに低いかとお分かりいただけるど思います。
心配なのは妊娠中の歯科治療だと思いますが、診察にかかる前に妊婦または妊娠の可能性がある方は必ずお申し出下さい。
胎児に影響が出るのは100mSv以上と言われています。そのため、歯科用レントゲンによる被曝量では妊娠中の方でもほぼ問題ないということになりますが安全が第一となりますので不要不急のレントゲン撮影は避けたいと考えています。しかしながらどうしてもいたみがひどく治療の為の診断材料としてのレントゲン撮影が必要な場合は放射線を通さない鉛でできたエプロンをお腹にすることで、放射線をブロックすることができます。
しかし、できれば妊娠前に歯科治療を終えておく事がベターかと思います。
歯科治療においてレントゲンはなくてはならないものです。その安全性をしっかりご理解の上安心して治療を受けていただければと思います。