糖尿病のある方でインプラントをご希望の方への注意点
2021年12月26日
執筆者:日本抗加齢医学会専門医 上村英之
糖尿病のある方でインプラントをご希望の方への注意点として解説いたします。本ブログでもご紹介の通りインプラントに適さない方の中に糖尿病を挙げさせてもらいましたが何故ダメなのか、できるとしたらどこが基準になるのかをご説明します。
まず、糖尿病のある方はインプラント治療においてどういうリスクがあるかということを理解しなければなりません。まず糖尿病が進行すると免疫力が低下し細菌感染を引き起こしやすくなります。その上唾液分泌も少なくなるため口腔の自浄性が悪くなりインプラントにとってはダブルパンチになります。また、骨の代謝も悪くなりインプラントと骨が結合するオッセオインテグレーションが正常に起こらず、インプラントと骨がくっつかなくなることもあります。だからこそ糖尿病のある方は特にインプラントの適応か否かをきちんと見極めて判断しなくてはいけないということになります。その判断基準は歯周病の治療がきちんとなされた上で口腔清掃状態が良く血糖値のコントロールもうまくできていれば、インプラント治療も可能となります。具体的に血糖値がコントロールされている状態とは空腹時血糖が180(mg/dl)以下 HbA1cが6.9%以下を一つの目安にしています。
糖尿病の方は必ずしもインプラントができないということではありませんが適応症例をきちんと見極めた上で失った歯の修復手段としてインプラントを選択するかあるいは義歯やブリッジにするのかを選択しなければなりません。示した基準はあくまで目安ですからインプラント適用の是非を歯科医師としっかり相談することが大切です。