虫歯が自然に治る事ってあるんですか?
2021年11月28日
執筆者:日本抗加齢医学会専門医 上村英之
本日は「虫歯が自然に治る事ってあるんですか?」という疑問にお答えします。皆様は歯科検診を受けた際、C2とかC3とか歯科医師が言っているのを聞いたことがあると思います。これは虫歯の進行段階を示すもので下記に表してみます。
CO:要観察歯のことで初期むし歯の状態です。歯の色が他の部分よりも白っぽくなっていますがまだ穴は空いていません。
C1:虫歯がエナメル質の範囲内にとどまっている状態です。
C2:虫歯が象牙質まで達した状態です。
C3:虫歯が歯髄(歯の神経)まで達した状態です。
C4:虫歯によって歯冠は崩壊し根っこだけになった状態です。
以上が虫歯の進行段階ごとの評価基準ですが虫歯を削らずに治せる段階はCOまでです。C1以上になって歯に穴が空いてしまったら治療を受けないと自然に治ることはありません。
COの段階で歯が白濁して見えるのは歯の表面からカルシウムやリンなどのミネラル成分が溶け始めた(脱灰)状態になっているからであって、この段階であればフッ素の活用による再石灰化(溶けた歯のミネラル成分をまた元に戻してあげること)を促進してあげることで修復が可能なため、歯を削る必要はありません。定期的に歯科医院でフッ素を塗ってもらい、おうちでの歯磨きでは年齢層にあった濃度のフッ素入り歯磨き粉を使用してもらうと良いかと思います。いずれにしてもCOの段階で虫歯を進行させないようにしてあげることが肝心なのです。「虫歯になってから治す」から「虫歯にならないよう予防する」に考え方をシフトし虫歯のない世界を目指したいと思っています。