虫歯って遺伝するの?
2021年11月13日
執筆者:日本抗加齢医学会専門医 上村英之
虫歯って遺伝するの?というテーマについて解説してみたいと思います。臨床の場で親に虫歯が多いと子供さんも虫歯が多いという現象が見られるのは確かです。しかし、それは遺伝によるものなのでしょうか?親子で虫歯の状態が似てくることについて検証してみましょう。
結論から申し上げると虫歯は遺伝しません。何故かというと虫歯菌は生まれたばかりの赤ちゃんには存在せず、生後にまわりの大人達の唾液を介して感染するからです。ですから菌質は当然周りの大人に似てきますがこれは遺伝ではなく後で感染したものです。虫歯の原因はむしろ食習慣をはじめとする生活習慣にあり、歯質、細菌、食事、時間といった4つの要素が絡み合ってできます。よって同じ生活習慣を共にする親子は虫歯の出来やすさが似てくるというわけなのです。あえて遺伝するものとしては歯並びや歯の質は遺伝的要素があり親子で似る場合があります。歯並びが悪いとプラークが残りやすく、また歯の質が弱いと虫歯になりやすく進行も早いということは言えると思います。総括すると虫歯の出来やすさは遺伝ではなくむしろそれ以外の要因、歯並び、歯の質、生活習慣などによるところが大きいということになります。虫歯になりやすいリスク因子があればそれを改善ししっかり予防することで虫歯は防げます。かわいいお子様が虫歯で辛い目に遭わないよう予防歯科を始めましょう。