虫歯の多い子はネグレクトのSOSかも
2021年04月14日
子供の虫歯とネグレクトの関係について考えてみたいと思います。最近では8020運動を始めとする歯科保健の普及に伴い健康志向の向上と適切な予防歯科の提供により、虫歯になる子どもが減る一方で、経済的な問題や親の無関心またはネグレクトによって虫歯になっても歯医者に連れていってもらえず虫歯だらけになって歯がほとんど崩壊し歯茎で噛んでいるようなお子さんをたまに見かけることがあります。
実際に、歯科疾患と児童虐待の関係を調べた調査結果によると虐待を受けている子供は一般の子供に比べて、むし歯罹患率が非常に高く一人あたりむし歯数が多いことが解っています。
乳歯はどうせ生え替わるから虫歯を放置しても良いと子供の育児に対する無関心から間違った認識をしている親もいます。子供の時に虫歯が多いお子さんは大人になってとやはり虫歯は多くなります。それは、子供の頃に歯磨きの習慣がきちんとできていなかったり乱れた食習慣など生活習慣は大人になっても引き継ぐからなのです。
児童虐待もひどいものは最悪死に至るような悲惨で悲しい事件もあります。
歯の根しか残っていないような虫歯が10本以上あったりそのような状況でも治療を受けていない、いわゆる口腔崩壊の状態にあるお子さんは児童虐待の早期発見の効果的な指標になっています。
我が国では、平成12年に児童虐待の防止等に関する法律児童虐待防止法が制定されましたが統計をとりだしてからも児童虐待は増加の一途を辿っています。
経済不況、少子化、核家族化の影響からくる児童虐待の発生リスク要因は社会的、経済的、身体的、精神的要因が複雑に絡み合って起こると考えられおり親のストレスのはけ口が家族内弱者である子どもに向けていることが考えられております。今後もこのような傾向は続くと考えられますので我々歯科医師は水際で発見し、もしその疑いがあれば児童相談所などと連携し子供の安全と健やかな成長を促す事も重要な社会的責務だと思っています。