要介護高齢者の口腔ケアのポイント
2022年01月31日
執筆者:日本抗加齢医学会専門医 上村英之
本日は要介護者の口腔ケアのポイントについて解説いたします。要介護高齢者の口腔ケアをするうえで何の目的でおこなっていくかを明確にして行うことが大切です。ただお口の中を綺麗にすれば良いというわけではないのです。
目的のポイントとしては2つ、感染予防と口腔機能の維持です。感染予防のためにお口のなかを清潔に保つ口腔ケアを「器質的口腔ケア」、後者は「機能的口腔ケア」と呼ばれ、どちらも口の健康だけでなく、全身の健康維持につながる大切なものです。要介護者のお口の特徴としてまず健常者に比べ自浄性が圧倒的に低下しておりその上、ご自身で綺麗にすることができないという事情があります。
お口の中が不潔な状態のままだと虫歯や歯周病が悪化するだけでなく口の中で細菌が増殖し、それらが気管から肺に入ることで誤嚥性肺炎を発症させてしまいます。その上、要介護高齢者は栄養状態も良くないことが多く免疫力も低下しているので重篤化しやすい状態にあります。昨今、高齢者の死亡原因に肺炎が多くなっているのはそのためなのです。
またお口には美味しく食事をとったり、家族や友人とコミュニケーションをとるなど人間らしい生活を送るために欠かせない機能があります。口腔機能が落ちてくるとそのような人間として当たり前の生活が困難になってきてそれがきっかけでさらに意欲が低下し、身体機能だけでなく、うつや認知機能の低下といった問題も発生させます。
これらの問題を解決するためには専門的かつ継続的な口腔ケアが必須となります。
医療、介護従事者は器質的口腔ケアと機能的口腔ケアによって、お口の健康を守り全身の健康を守っていくという視点で口腔ケアを行う必要があります。ですからただの歯ブラシだけしていれば良いわけではなく専門家と患者さまの身体事情や生活背景などの特性にあわせカスタマイズされた口腔ケアのプランを作って実践する必要があります。周りにそのような方がいらっしゃりどうしたものか困ってるというご家族の方や介護従事者の方がいらっしゃいましたら八潮市のLeaLea歯科・矯正歯科クリニックまでお気軽にご相談ください。