顎関節症の家庭療法
2022年01月13日
執筆者:日本抗加齢医学会専門医 上村英之
顎関節症のご自身で行う家庭療法の仕方について解説いたします。顎関節症の症状の改善には、クリニックで受ける治療のほかに患者さん自身による家庭でのセルフケアが重要であり積極的に行うことが提唱されています。
①急性期(痛みの強い時)のセルフケア
まず症状(痛み)が強い急性期のセルフケアですが食事の仕方にも注意が必要で食品は小さく切り分け大きく口を開けないで済むサイズに調理するとともに、するめやフランスパンのように、かみ切るのに力や時間がかかるものは避けるようにしましょう。
あくびをするときも下あごの下に拳を置いて開口を出来るだけ抑えるようにしましょう。この方が顎の筋肉への負担を減らせます。
次に氷水を入れたビニール袋を患部に当てて10分程度冷やしてください。ここで重要なのは冷やしすぎないこと、あくまで10分以内に抑えることご肝心です。そして冷やしたらゆっくりと無理のない程度で口の開閉運動を行い顎の関節を動かすとともに筋肉を引き延ばすイメージで繰り返してこれを1日何回か行ってください。
②痛みが少し緩和された時のセルフケア
まず、顎関節症になった原因としてご自分が無意識に行っている行動や、姿勢、習慣等を改善除去する。患者さん自身では何が悪かったのかわからない場合が多いと思いますので歯科医師に生活習慣について聞き取り調査をしてもらい改善のための指示を仰ぐと良いでしょう。
また、蒸しタオルを5分ほど患部に当てて温めたり、親指の付け根や2~3本の指先でゆっくり押し回すようにマッサージするのも良いでしょう。ここで注意点としては痛みを強く感じるほど激しくマッサージするのは逆効果になります。そして急性期の痛みが和らいできたら、少し痛みを感じる程度に関節を動かしたり筋肉を引き延ばす訓練を行うと痛みの改善が早まります。
いずれにしても間違った家庭療法を行うとかえって症状の悪化を招きかねないので必ず歯科医師の指示のもと適切に行ってください。