骨粗鬆症とインプラント
2021年12月21日
執筆者:日本抗加齢医学会専門医 上村英之
骨粗鬆症とインプラントについて解説致します。結論から申し上げると骨粗鬆症のかたは抜歯やインプラントなどの外科手術を受ける際に一定程度のリスクを伴うので必ず事前にお申し出いただきたいと言うことです。まず骨粗鬆症とは高齢や女性ホルモンの影響により骨密度や骨の質が低下し骨折のリスクが増大する骨の病気のことです。
骨は本来、代謝を繰り返しており古い骨が壊され新しい骨を作り出すという作業を繰り返しています。つまり骨は骨代謝で強度を一定に保っているわけですが代謝能力が衰えると骨のカルシウム量などが低下することにより骨の強度が低下するというわけなのです。そのような中、骨の中に人工歯根を埋め込むインプラントは大丈夫なのと心配されるかたもいらっしゃると思いますが骨粗鬆症自体がインプラント治療に対するリスクを増大させるかと言えばそのようなことはほとんどありません。しかしながら骨粗鬆症治療に使用している薬剤の種類によっては外科手術の際、顎骨壊死を招くリスクがあることは充分考慮しなければいけません。では実際どのような薬に注意しなければならないのかを以下に列挙いたします。
フォッサマック、ボナロン、ボンビバ、ダイドネル、アクトネル、ベネット、ボノテオ、リカルボン、リクラストなどの(ビスフォスホネート製剤 )
プラリア、デノスマブ(抗RANKLモノクローナル抗体)
イベニティ(抗スクレロスチン)
日本における骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の発生頻度は、ビスフォスフォネート製剤の経口薬において0.01%〜0.02%、注射薬では1~2%と報告されていますので以上のお薬を飲まれいる方は必ず外科手術事前にお知らせください。顎骨壊死の症例は治療後痛みが治まらない、歯ぐきから骨のような硬いものが見えてきた。歯がぐらつき歯が自然に抜けてしまった、あごが腫れてきた、しびれがあるなどがありますので外科手術に際しては充分注意を払いながら行うことが必要なのです。