高齢者の死因で多い誤嚥性肺炎とは
2021年07月27日
執筆者:日本抗加齢医学会専門医 上村英之
本日は誤嚥性肺炎について解説いたします。
2019年の死因は第1位が悪性新生物で第2位が心疾患、第3位が老衰、第4位が脳血管疾患、第5位が肺炎でした。最近の傾向として特徴的な事は老衰で亡くなる方が増えてきているという事と肺炎で亡くなる方の割合が上がってきている事です。老衰で亡くなるということは医学の進歩によるものと考えられますが反面長生きする事で肺炎を起こして亡くなる方も多くなってきたという事ではないでしょうか?高齢になるほど肺炎で亡くなる方の割合は増える傾向にあり誤嚥性肺炎の予防が急務となっております。誤嚥性肺炎とは食べ物や飲み物、あるいは唾液などが嚥下機能の低下に伴い肺に入って発症する疾患です。通常、健康な人であれば、飲み込んだ物は口から食道を通って胃に入っていきます。しかし高齢になったり脳梗塞の後遺症やパーキンソン病などの神経疾患があると嚥下機能が低下し口腔内の細菌が食べ物や飲み物と一緒に肺に入り込んでしまうというわけなのです。
口腔内が不潔だと口腔内で細菌がますます繁殖し、肺炎を発症するリスクがさらに高まります。そのため高齢者の口腔ケアは虫歯や歯周病予防という観点の他、誤嚥性肺炎予防という観点をもってしっかり行う事が重要になってきます。ご自身でできれば良いのですか寝たきりの状態になったりしたら周りの介助者による介入が必要です。もっと誤嚥性肺炎についての理解と認知が社会に浸透して誤嚥性肺炎で亡くなる方が少なくなるよう啓蒙活動を強化しなければと思います。