口腔癌についてもっと知ろう!第6弾 診断にとても有効な口腔蛍光観察装置とは?
2021年11月08日
執筆者:日本抗加齢医学会専門医 上村英之
本日は口腔癌の診断に際して使用する口腔蛍光観察装置について解説いたします。日常臨床において私達はさまざまな口腔粘膜の異変に遭遇し、それが口内炎なのか、口腔がんなのか、その鑑別に苦慮することがたびたびあります。特に初期の口腔癌は見た目だけではわからない事が多く視診だけでの診断精度は低いものと考えています。
そこで近年、視診・触診のほか診断の補助として、蛍光観察装置の利用が進んでいます。国内で使用されている口腔蛍光観察装置はVELscope®Vx(ベルスコープ)ORALOOK(オーラルック)BIOSCREEN(バイオスクリーン)OralID(オーラルID)の4種類の器械があります。当院ではその中のORALOOK(オーラルック)を使用しています。ORALOOK(オーラルック)は口腔内の病変部位に青色光を照射し、その反射光によって組織の異型性の有無を観察します。正常細胞は光を反射するため青緑色に見え異常細胞は光を反射することなく吸収してしまうため暗色として見えるので診断がとても簡単に行えます。
口腔内のスクリーニングで用いられる検査としては他に生体染色法がありますが、ヨード染色であればアレルギーの患者には使用できませんし細胞診によるスクリーニングにおいては結果が分かるまでに時間を有する場合があります。
それに比べて口腔蛍光観察装置は患部に光をあてるだけの非接触、低侵襲で繰り返し施行が可能な手軽な口腔がんのスクリーニングとしてとても有効なものです。
蛍光観察装置は特に初期の口腔癌の診断にはとても精度をあげることができる優れものですが器材を装備している歯科医院は少ないのが現状です。口腔癌検診をお考えの皆様は口腔蛍光観察装置がある医院を医院選びの基準にすれば良いかと思います。お気軽にお電話ください。