インプラントとは
2021年12月11日
執筆者:日本抗加齢医学会専門医 上村英之
インプラントの歴史について解説いたします。
そもそもインプラントとは、体内に埋め込む医療機器の総称で歯の欠損部を補う目的で入れるインプラントは正確には歯科インプラント(デンタルインプラント)と呼ばれなければなりません。しかし一般的には、歯科で行われるインプラントが「インプラント」という言葉で広く認知されているようなので以下インプラントという言葉でお話しさせていただきます。インプラントの歴史は以外に古く ヨーロッパでは紀元3世紀頃のローマ時代の人骨に、また、中南米では下顎の骨に金属や貝で作られたインプラントらしきものが埋まっている人骨が発見されています。このように、インプラントの歴史はとても古いのですが、治療法として確立されてきたのはごく最近のことです。
1952年にスウェーデンのブローネマルク博士がチタンと骨の組織が親和性良く結合するオッセオインテグレーションという概念を発表したことによってインプラントは急速に発展してきました。1965年にはスクリュー形のチタン製のインプラントの臨床応用が開始されインプラントの臨床成績は著しく向上しました。このように骨と結合するインプラントの臨床成績が優れていることが広く知られるようになったのは、1980年代になってからです。我々、歯科医師が臨床の現場でインプラントをするようになったのもこの頃からだったと記憶しています。その後もインプラントには様々な改良が加えられ、現在では10~15 年の生存率は上顎で約 90%程度、下顎で 94%程度まで臨床成績がさらに向上しているのです。
約10~15年たっても約9割の方がインプラントを保持しているわけですがケアを継続的にしっかり行っていれば正確な平均寿命はもっと長く40年以上長持ちするケースもあるのです。インプラントには、入れ歯のような鬱陶しさがなくブリッジのように欠損部の両隣の歯の健康な歯を削る必要がないなどのメリットもありますが費用が高い、オペが必要などのデメリットもあります。患者さん個人個人に最適な方法を選択して快適な食生活を送れるようしていきましょう。