インプラント治療のメリット、デメリット
2021年12月12日
執筆者:日本抗加齢医学会専門医 上村英之
インプラント治療のメリット、デメリットについて解説いたします。
虫歯や歯周病で失った歯を補う方法の一つとしてインプラント治療があるわけですがメリット、デメリット双方がありますのでしっかり理解した上で患者さんにあった最適な方法を選択していただきたいと思います。まず、メリットとしては入れ歯のような鬱陶しさや煩わしさがなく自分の歯に近い機能や審美性の回復が可能です。
また、ブリッジのように抜けた歯の両隣の健康な歯を削ることなく修復できるなどのメリットがあり、健康長寿社会において審美性、快適性が求められる風潮の中、インプラント治療はそれらの要望に応えられる大変優れた治療法と言えます。
一方、デメリットとしては手術が必要である、治療期間が長い、保険が効かないため自費診療となり治療費が高額になる、などのデメリットがあります。高い費用をかけてどのくらい持つのと思われる方も多いと思いますが昨今は技術の進歩によりインプラントの治療成績は年々上がってきております。10年間のインプラント残存率は、部分欠損の上顎は91%前後、下顎は96%前後、無歯顎の上顎は80%前後、下顎は97%前後になっています。下顎より上顎の方が残存率が悪いのは骨の性状が海綿骨でやわらかく上顎洞や鼻腔があるためインプラント体を埋入できる骨の量が少ないことに起因しています。これはあくまでも平均であってメンテナンスをしっかり行うことで寿命は確実に伸びます。インプラント治療を受けるには一時的に費用がかかりますが10年、20年と快適な食生活を送れることを考えると皆さんは如何お考えになるでしょうか?是非これらのメリット、デメリットを踏まえたうえでご検討いただければ幸いです。