インプラントに適さない方とは?
2021年12月13日
執筆者:日本抗加齢医学会専門医 上村英之
インプラントに適さない方について解説いたします。インプラントに適さない方とは治療後の予後があまり芳しくないと予想される方ということになります。歯を失った方にとって、インプラント治療は有力な選択肢の一つになりますが、残念ながら誰にでもインプラント治療をおすすめできるというわけではありません。以下のような方にはインプラント治療を積極的におすすめできません。
①重度の歯周病の人
そもそも歯を失った原因が歯周病なのに歯周病の人がインプラントできないんじゃ意味ないじゃんと思う方もいらっしゃると思います。ここで重要になるのが、インプラント治療を受ける前に歯周病をしっかり治しておくことです。歯周病が重度のままでインプラントを入れると、「インプラント周囲炎」という病気を起こしインプラント脱落の原因を作ってしまいます。
②年齢が若い方
顎の骨が発達している若年層の段階ではインプラントを入れることができません。個人差はありますが20歳以上くらいがインプラント治療ができる目安となります。
③コントロールされていない糖尿病のある方
糖尿病の方は免疫力が低下しているためインプラントと骨の結合が正常に起こらず、インプラントの脱落に繋がることもあります。 またオペ後、糖尿病の方は傷口の治りも悪く遅延します。オペの可否の目安として血糖値がコントロールされている事が条件になります。
④骨粗しょう症の人
骨密度が低下した骨にインプラントを埋め込んだ場合、きちんと結合しないことや抜けてしまうことがあります。また骨粗鬆症の方はその治療に使用している薬剤の種類によっては顎骨壊死のリスクがあるので注意が必要です。
⑤喫煙者
たばこの中に含まれるニコチンには血管収縮作用があるため歯肉の血行が悪くなり栄養がいきわたらなくなったり、唾液が減少することによりインプラント周囲炎を起こす可能性がでてくるなどインプラントの成功に対してリスク要因となります。
⑥オペ後のケアをしっかりできない方
インプラントはご自身の歯よりもっと繊細です。おうちでのケアを、しっかり行えない方や定期的に歯科医院でケアを受けられない方はあまりおすすめできません。
⑦その他、全身疾患のある方
循環器系の疾患をお持ちの方は血液をさらさらにする薬を服用されている場合がありインプラントの治療の際、出血が止まりにくい場合などがあるので注意が必要です。
以上がインプラントにあまり適さない方ということになりますが絶対ダメというわけでもありません。状況にも個人差がありますのでインプラントの担当医と充分話し合って決める事が重要になります。