タバコがインプラントに及ぼす悪影響
2021年12月15日
執筆者:日本抗加齢医学会専門医 上村英之
タバコがインプラントに及ぼす悪影響ということについて解説いたします。
本ブログでも再三にわたりタバコが全身疾患や歯周病に及ぼす悪影響について解説いてまいりましたが当然、インプラントについても然りです。タバコを吸う方は吸わない方に比べインプラントの失敗率が2〜4倍に高まると言われています。何故タバコがインプラントをダメにするのか、その要因を一つずつ紐解いてみましょう。まず、喫煙による血流量の減少が問題になります。タバコの成分であるニコチンには血管収縮作用があります。それによって歯肉の血流量が減少し歯肉に充分な栄養がいかなくなることでインプラント体と骨がしっかりつかなくなるのです。
そして後にインプラントがグラつく、外れるといったようなトラブル発生を招いてしまうのです。次にタバコによる免疫力の低下です。免疫力が低下することによって感染に対する防御機能が落ちインプラント周囲炎などインプラントを脱落させる原因を作ってしまいます。最期にタバコによる唾液分泌の低下です。唾液の中には免疫に役立つ成分や成長因子など身体に良い成分が多く入っています。そして唾液量の多い人ほどお口の自浄性が高まりお口の中は清潔に保たれます。よって唾液の多い人ほどインプラントを長持ちさせるのに優位に働くというわけなのです。これらをふまえ、インプラントをお考えの方は是非この機会に禁煙をしてみては如何でしょうか。禁煙外来では無理なくタバコをやめられる方法を患者さんと共に考えてくれます。人生100歳時代を健康で快適に過ごすためにもタバコを吸っている方は禁煙を試みましょう。