歯周病とインプラント
2021年12月23日
執筆者:日本抗加齢医学会専門医 上村英之
歯周病とインプラントについて考えてみたいと思います。インプラント治療に適さない場合として重度の歯周病がある人と本ブログ内でも解説しましたが一体どういう事でしょうか?そもそも歯を失った原因が歯周病にあるのだとしたら天然の歯よりも感染に対する抵抗力が弱いインプラントは更にリスクを抱えたまま行うということになります。まず、歯周病の方がインプラント治療を行う場合のリスクとして以下に説明します。
歯周病がコントロールされていないとお口の中にはたくさんの歯周病菌が存在していることになります。そのような口腔内環境が悪い中、インプラントを埋入してしまっては、インプラントが歯周病菌に感染し、インプラントの歯周病とも言えるインプラント周囲炎を起こしてしまいます。
インプラントは、天然歯よりも細菌に感染しやすく、一度かかると進行も早いのでこれからインプラント治療を受けようと考えている方は歯周病の治療を行いコントロールされた安定した状態になってから行われることをおすすめします。もう一つのリスクとして歯周病で歯が抜け落ちた部分の骨は吸収されていてそのままインプラントを埋入しても、インプラントを支えるのに充分な骨を確保することができない場合があります。よって骨量が足りない場合は骨造成など骨を増やす治療が必要になる場合があります。いずれにしてもインプラント治療は良い口腔内環境の元で行うことが成功の条件となってきます。インプラントをご希望の方はまず歯周病治療で口腔内環境を改善してその状態をずっと維持していかなければなりません。オペの前だけ綺麗にしてオペ後はまたほったらかしというのでは長期にインプラントを安定させることは難しくなります。せっかく高い費用を出して入れたのですから大切にしていきましょう。