虫歯や歯周病がないのに歯が痛む非歯原性歯痛とは?
2022年01月16日
執筆者:日本抗加齢医学会専門医 上村英之
本日は虫歯や歯周病がないのに歯が痛む場合について解説いたします。
現代において複雑な社会構造や人間関係によるストレスから虫歯や歯周病のようなはっきりした原因がないのに歯の痛みを訴える人が昔より多くなったような気がします。
歯科医院を受診する方の多くは痛みを主訴として来院されます。これらの痛みの多くは、虫歯や歯周病による歯が原因となる痛みであり、これを歯原性歯痛と言います。歯原性歯痛は、歯科医師による診断も明解で適切な治療を行えば痛みはおさまります。一方、歯に原因がない歯痛のことを非歯原性歯痛といい虫歯や歯周病がないのに歯が痛む方はこれにあてはまります。
非歯原性歯痛はそもそも歯に痛みの原因が無いため歯を治療しても良くならない痛みということが言えます。なので歯科医師側にも患者様側にも歯が原因でない歯痛があるという知識がないとトラブルに発展する可能性があるので注意が必要です。歯科医師側の問題としては削る必要のない歯を削ってしまう、神経を取る、また歯そのものを抜く抜歯など、これらの治療は一旦行うと元に戻すことができないので注意が必要です。患者様側においては歯の痛みで歯医者に行ったのに、歯の治療をしてくれないなどと不満が生じることがあります。是非本ブログを読んでいただいた方には非歯原性歯痛というものがあるということを知っておいていただきたいと思います。
特に昨今では非歯原性歯痛の原因として心因性に起因するものが多くなっており統合失調症、うつ病等において身体症状として歯痛が出現することもわかってきました。これら心因性のものは歯科単独で治すことができない為、心療内科や精神科の対応が必要になります。いずれにして慎重な対応が求められるので気になる方がいらっしゃったらお気軽ご相談ください。