親知らずの生え方による様々なデメリット
2022年02月13日
執筆者:日本抗加齢医学会専門医 上村英之
親知らずは大臼歯の中で20歳前後に最も奥に生えてくる歯で別名、智歯とも呼ばれています。
一番奥に位置し、しかも真っ直ぐ生えないケースが多く、斜めに生えたり、横向きに生えたりするためものが多いため食べかすが詰まりやすく、それでいてブラッシングは行き届きにくいため虫歯になりやすい歯でもあります。そのため他の歯に比べて抜かれる頻度が高い歯ということも言えます。まず親知らずの生え方について下図を見ていただくと様々な生え方があることがわかると思います。
何故まともに生えにくいのか、それには理由があるのです。それは一番最後に生える歯で生えるだけのスペースがきちんと残されていない、これは現在の日本人の顎が細くなる傾向があり親知らずまで含めた32本の歯全て並べるだけのスペースを確保しにくいためなのです。そのことによる弊害として下記に列挙してみたいと思います。
親知らずによって引き起こされるトラブル
①親知らず自体、または親知らずの手前の歯が虫歯になりやすい。
② 真っ直ぐ生えないため親知らず周辺が不衛生になり周囲の歯肉に炎症が起きて腫れたり、痛みが生じたりします。これは「智歯周囲炎」と呼ばれます。
③智歯周囲炎を起こし歯肉が腫れると上の歯が腫れている歯肉を噛んで余計に炎症を憎悪させることがあります。
④ 親知らずが斜めや横向きに生えると手前の歯を押す力が働き歯並びがずれて噛み合わせに悪影響を及ぼします。
⑤食べかすが詰まりやすくなるので口臭の原因になる。
⑥ 親知らずが手前の歯に食い込むように生えてくるので手前の歯の歯根が吸収される場合があります。歯根吸収が進むと、親知らずだけでなく手前の歯の抜歯も必要になる場合があります。
以上、親知らずには特有の事情により抜歯を余儀なくされる場合があり、しかも生え方や歯根の状態によっては抜歯が難しいケースも少なくなく大学病院などで抜いてもらうよう紹介状を出されることも多いと思います。
当院には口腔外科学会に所属し研鑽を積み、親知らずの抜歯に関しても熟練の歯科医師が在籍しておりますので安心してお問い合わせください。