悪い姿勢がもたらす歯並びへの悪影響
2022年02月17日
執筆者:日本抗加齢医学会専門医 上村英之
姿勢が悪い状態で長時間のデスクワークやゲームなどをしていると身体のあちこちに悪い影響がでることをご存知でしょうか。それは身体だけでなく実は、虫歯や歯周病、歯並びにも影響しているのです。どうしてそのようなことになるのかについて下記に解説致します。
悪い姿勢が長く続くと体を支える筋力のバランスが崩れ、さらに弱った筋力を補おうと楽な姿勢を取ることでますます姿勢が悪くなるという悪循環に陥ってしまいます。
姿勢が悪いと身体的には頭痛、肩こり、腰痛、関節痛、頸椎症などといった問題を引き起こしさらに、筋力が低下することで消化力や代謝が落ちて肥満の原因を作ったりすることもあります。
お口への悪影響として考えられることは猫背などの悪い姿勢はいわゆるお口ポカン状態をつくり口呼吸を促します。
口呼吸になると口腔内の唾液量は減少し口腔内の自浄性が阻害されることで虫歯や歯周病、口臭のリスクを高めてしまいます。
その他にも悪い姿勢は歯の噛み合わせも狂わせ歯ぎしりや食いしばりの原因になり顎関節症といった症状が出ることがあるのです。
最後に姿勢が悪いことで起こる歯並びへの悪影響ですが子供の歯並びは、姿勢ととても深い関係性があります。本来、歯並びは口唇・頬・舌の筋力のバランスによって位置が決まります。このバランスがうまく取れていると、本来並ぶべきところに歯が配置され綺麗な歯並びになるわけですがそのバランスが崩れると歯並びは悪くなるということなのです
お口をポカンと開けているお子さまは口で呼吸をするためには上を向く方が楽です。そうすると目線が下がり猫背になるというわけなのです。舌は本来上顎に触れていて上顎を内側から支えているのが正しい位置ですが猫背でお口ポカン状態のお子さまのお口のなかは舌が後ろに後退し、また口唇を閉じる筋力も同時に低下するので上顎の成長が阻害されるようになります。顎の成長が促されないと歯が生えてくるための充分なスペースが確保できないことで歯が重なって生えたり、出っ歯になったりするわけです。よって悪い姿勢を放置したまま矯正治療を行っても効果的に進めることができないばかりかせっかく綺麗な歯並びを獲得しても舌などに不良習癖が残っていれば後戻りしてしまうという結果にもなりかねません。矯正治療を行う際は姿勢を正しくするなど根本的なところからアプローチしなければならないのです。矯正治療のご相談は矯正歯科学会認定医が在籍する当院までお気軽にお問い合わせください。