抜歯後のトラブル、ドライソケットとは?
2021年08月07日
執筆者:日本抗加齢医学会専門医 上村英之
抜歯後のトラブル、ドライソケットについて解説いたします。抜歯後の痛みは通常、1日か2日くらいで痛み止めの薬を必要としないくらいに完全に治ります。軽い方は麻酔が切れてもほとんど痛みを感じないという方もいらっしゃいます。しかし一方で 抜歯後、数日たってから強い痛みが出る場合が稀にあります。それはドライソケットという状態かも知れません。ドライソケットとは抜歯した穴になんらかの理由で血餅が出来ず骨が露出したままの状態になり、そこに細菌感染が起きて炎症を引き起こしている状態です。
通常、抜歯すると歯が抜けた穴の部分に血液が溜まってゲル状に固まり血餅を作り傷口がだんだん治っていきます。
しかし、うまく血餅がうまくできなかったり、うがいを頻繁にしたりする事によって血餅が剥がれてしまうことがあります。そうするとドライソケットを作る原因になるので注意が必要です。原因としてはうがいのしすぎの他に抜歯窩の骨自体の血流が悪く血餅が出来なかったり免疫力が低下していて感染を起こすなどのケースが考えられます。ドライソケットになったら強い痛みが2週間前後続きます。 その後徐々に痛みが引いていきます。
ドライソケットの治療は抗生剤と鎮痛薬の処方を行います。また経過によっては患部に麻酔をし抜歯窩を再掻爬することで外科的に出血を促し血餅の形成を促します。ドライソケットの原因で抜歯窩の血流自体が悪いなど不可抗力の部分もありますが患者さん自身がドライソケットの予防として出来る事もあります。抜歯後、気持ち悪いからと言って口をゆすぎすぎないこと、血餅が剥がれてしまいます。気になっても抜歯窩を触らないこと。歯ブラシなどでも血餅も簡単に剥がれてしまいますので治療が必要です。
抜歯前は栄養をとり睡眠もバッチリとってください。
お口の中を清潔に保ちましょう。
喫煙はお控え下さい。タバコの中のニコチンには血管収縮作用があり出血がしにくくなることで、血餅ができにくくなります。やむなく抜歯せざるを得ない場合は以上のような事をお守りいただいたうえで抜歯に臨んでください。