日本と予防先進国スウェーデンの歯科事情の違い
2021年10月28日
執筆者:日本抗加齢医学会専門医 上村英之
本日は日本と予防先進国スウェーデンの歯科事情の違いについて解説いたします。昨今は日本でも予防歯科の重要性が盛んに言われるようになりましたが、実際に予防歯科に取り組んでいる率はスウェーデンに比べてまだまだ低いというのが実情です。その結果DMFTや残存歯数にどのくらいの差が実際あるのか厚生労働省の出している資料を参考に見てみましょう。
まずDMFTですがDMFTとは「D」decayed(むし歯)「M」missing(抜去された)「F」filled(充填された)「T」teeth(歯)の略で虫歯を経験した歯の数の事になります。以前はスウェーデンの人たちも虫歯が多くDMFT歯数が日本よりも高い時期がありましたが予防歯科を国家的プロジェクトとして取り組んだ結果1975年に6.3あった12歳児のDMFT歯数が2011年には0.8まで下がっているのが表を見てお分かりいただけると思います。それに比べて日本人の場合は1.4という結果になっています。また、厚生労働省による平成29年度歯科疾患実態調査で明らかになった80歳時点での残存歯数を比べてみるとスウェーデンでは21.1本あるのに対して日本は13.0本と約8本の差があります。これらの結果を見ても予防歯科を積極的に行った場合とそうでない場合に明らかな有意差がある事がお分かりいただけたと思います。若いうちから予防歯科の重要性を理解し実践していくことこそが未来の健康的で幸福な人生を確かなものとする第一歩になります。まだ予防歯科に、取り組んでいないという方は是非この機会に始めてみませんか?