虫歯の再石灰化とは?
2021年12月01日
執筆者:日本抗加齢医学会専門医 上村英之
虫歯の再石灰化について解説いたします。昨今はTVコマーシャルなどで歯の再石灰化という言葉を耳にする機会が増えた事と思います。しかしその意味を正確に理解している方は少ないと思いますので改めて再石灰化について解説してみます。口の中では歯に対して脱灰と再石灰化が常に綱引きをしているような状態です。
脱灰とは歯のカルシウムやリンのようなミネラル成分が歯から抜け出すこと、反対に再石灰化とは抜け出した歯のミネラル成分がまた元に戻り修復される事を言います。要するに脱灰組が勝つと虫歯になりやすいということになり再石灰化組が勝つと虫歯になりにくいということになるわけです。
歯の脱灰が進むのはお口の中の虫歯菌が食事に含まれる糖分を餌に酸を産生し歯を溶かすことが原因になります。ですので歯磨きをよくして虫歯菌の温床であるプラークを取り除き、ダラダラと食事をしない事が脱灰を進ませないことにつながります。反対に再石灰化を促す要因としてはなにがあるかと申しますと唾液やフッ素、キシリトールなどがあります。唾液の中には元来、再石灰化作用があり自然に歯を修復してくれる機能が備わっているのです。フッ素やキシリトールも虫歯予防に大変効果的なので日頃の歯磨きと共に併用していけば、なお良いかと思います。虫歯予防で大事なことは正しい知識と実践にあります。信頼できるかかりつけの歯医者さんと二人三脚で予防歯科に取り組んでいきましょう。